解雇と不法行為(損害賠償請求)

2014-02-24

不当に解雇されましたが、不法行為に基づく損害賠償請求は可能ですか。

この点については、諸説ありますが、「権利濫用にあたる解雇は、使用者に故意・過失のあるかぎり労働者の雇用を保持する利益や名誉を侵害する不法行為の成立要件を吟味したうえで結論を出すべきであり、権利濫用にあたる解雇が当然に不法行為になるとは解すべきでない」とする説が有力なようです。

したがって、無効な解雇=不法行為とはなかなか言えない場合も多いです。

なお、解雇が不法行為にあたる場合の逸失利益については、裁判例では、労働者が地位確認・賃金請求に代えて不法行為による損害賠償を請求した場合につき、一定期間の賃金相当額を逸失利益として認めたものと認めなかったものがあり、定説はありません。

本来、解雇権の濫用にあたる解雇は無効ですので、労働者は解雇期間中の賃金請求そのものをなすべきなのです。

しかし、権利濫用の解雇をされた労働者が解雇をした企業に見切りをつけつつ、解雇についてはその不当性を明らかにするため損害賠償を請求する場合には、事実上適当な期間の得べかりし賃金相当額を逸失利益として認めるのも実際上妥当な手段でしょう。

 

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